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増田 英敏 稿
「アメリカ租税行政組織の構成とその機能」

(拓殖大学論集第190号平成3年3月刊)(以下第一論文という)
「アメリカ租税行政組織の構成と納税者の権利保護」
(税経通信平成3年8月号および9月号)(以下第二論文という)
「アメリカ合衆国における租税争訟制度」
(税務弘報平成3年12月号)(以下第三論文という)


 この3編は、アメリカ税法における納税者の権利保護を論じた一連の研究にあたるものとして、一編として評価した。
 
 第一論文は、アメリカにおける租税行政の遂行主体である内国歳入庁の組織構成をその機能との関連で解明するとともに、規則制定権をも研究対象に加える。これは、筆者の関心事である「アメリカ租税調査権研究」の準備作業と位置づけられている。行政組織の実証的論述は外国人にとって存外難しいにもかかわらず、本論文は手ぎわよく正確に概観を与えている。
 
 内国歳入庁はその規則制定権の行使にあたって「行政法及び憲法の一般原則」に拘束されるのみならず、「内国歳入法典及び1946年の行政手続法」に厳格に拘束される。行政手続法が租税法の領域における規則制定の事前手続及びその対象たる規則の種類をどのように規制しているかについて、関心のあるところである。財務長官の承認を得て内国歳入長官の発令する「規則は納税者ばかりでなく内国歳入庁をも拘束する」一方、「裁判所は当該規則が法定規則であるか、解釈規則であるかを判別し、理論上は解釈規則に対してはより批判的な精査を加えることになる」ので、「納税者が同規則を無効にすることに成功する場合もまれには生起する」とする。
 
 第二論文の前半は、第一論文と大部分重複する。第二論文の後半は、OECD報告書「納税者の権利義務」(1990)による納税者の六基本権を判定基準としてアメリカ納税者の権利保護の法制度を評価しようとする。知る権利は、個人情報コントロ−ル権(情報自己決定権)、個人情報請求権、個人情報訂正請求権、文書閲覧請求権、理由付記請求権等の領域で理論展開されており、聴問権(聞かされる権利)は、「租税調査権」の領域においても大いに展開されている。
 
 第三論文は、各国の租税争訟制度のなかに合衆国の租税争訟制度を位置づけそして評価しようとする。「内国歳入庁内部のAppeals Officeに上訴」(不服申立)するか、又は「司法裁判所に上訴」(提訴)するかの選択主義が合衆国で採用されているとする。ここでいう司法裁判所とは、連邦地方裁判所、請求裁判所または租税裁判所をいうが、それぞれの特色が特記されており、納税者が最も有利な裁判所を選択して提訴しうるとする。
 
 以上、合衆国の租税行政組織及び租税争訟制度の論述は高く評価されるものである。

第一論文(PDF)・・・・・・ 619KB

第二論文(PDF)・・・・・・1.46MB

第三論文(PDF)・・・・・・ 664KB


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