公益財団法人租税資料館

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浦野 晴夫 著
「確定決算基準会計」

(株式会社税務経理協会 平成6年7月刊)


 本書では、「確定決算基準主義」を「『一般に公正妥当と認められる会計処理の基準』に従う法人が自らに最も適した方法を採用する場合には、税務もこれを尊重してその企業意志を判断の基準とする考え方」としてとらえ、確定決算の権威が保証されることによって成り立つとする。本書は、「確定決算基準会計」を「そのような社会的要請に応える会計の在り方を検討する研究領域」であると定義して、次の6章によって日本、ドイツ及びアメリカにおける確定決算基準主義の原則と実務を検討している。

 序章は、確定決算基準主義の態様を整理した上で、企業会計基準の選択自由性の問題と「国際会計基準公開草案32号」を中心とする会計基準選択幅縮小の動向を指摘する。

 第1章は、ドイツ税法における基準性原則の成立過程、欧州におけるEC会計法指令4号とルーディング委員会の税制統一報告の要旨及びアメリカ歳入法における帳簿記録準拠原則と歳入庁当局のGAAP(一般に認められる会計諸原則)不信論の動向を紹介する。

 第2章は、日本法人税法の所得計算規定を概括した上で、特に引当金と減価償却を中心とする経理要件と基準性・逆基準性の問題を論ずる。

 第3章は、アメリカ歳入法における確定決算基準主義の展開として、後入先出法の一致要求(財務会計処理との一致要件)と減価償却における一致要求の廃止、代替ミニマム・タックスにおける財務利益基準(1896−1990)の原理を述べる。

 第4章は、ドイツの確定決算基準主義に関して、基準性原則の意義、限界、逆基準性、商法選択権と税法選択権の関連等について、近年の所得税法の展開及び連邦財政裁判所判決を中心として詳細に論ずる。

 終章は、本来の逆基準性(税法による会計上不当な処理の要求)を否定する一方、広義の逆基準性(税法処理と合理的な会計基準との一致要求)の存在を肯定する立場をとり、その前提として企業会計基準における選択幅を縮小すべきであるとする。

 本書の研究の中核になっているものはドイツ所得税法の基準性研究であり、特に商法選択権と税法選択権の問題に関する近年の制度・学説の変遷と意義に関する研究は、詳細、かつ、厳密であり、わが国法人税法の確定決算主義論議にも大きく貢献する優れた論述である。

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