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総監修 吉国二郎、編集 大島隆夫・市丸吉左エ門・武田昌輔
「戦後法人税制史」

(税務研究会 平成8年10月刊)


 本書は、戦後50年の法人税制の歴史をあとづけることを目的として吉国二郎氏監修のもとに、大島隆夫、市丸吉左エ門、武田昌輔の三氏によって編纂されたもので、編集代表は大島隆夫氏である。本書は大蔵省主税局の立法担当者の執筆による各年度の法人税法改正の解説(第一部)と編集委員の一人である大島隆夫氏による歴代主税局長との対談(第二部)から構成されている。

 第一部では、昭和21年度から平成8年度までの各年度別に、法人税法を中心として、必要に応じ租税特別措置法やその他の関連税法を含め、改正の背景と内容を解説している。編集者まえがきにあるように、本書は、普遍性を保つため、主観的、論説的スタンスを避け、客観的に解説・説明することに努めたとされているが、その意図は十分に達成されており、法人税法の全体図が的確に描写されている。また、戦後50年にわたる改正経緯が当時の担当官によって執筆されることは稀有のことであり、法人税法の歴史研究にとって貴重な資料となるものである。

 加えて、本来の戦後法人税史のほか、戦前の明治32年の第一種所得税に始まって終戦に至るまでの法人税の歴史をも収録しており、本論の戦後法人税制史とあわせてわが国の法人税制度の全般的理解に役立つ資料的価値も大きい。さらに、増加所得税、国税通則法など、主として終戦直後の主要な新設税制について簡単な解説が加えられていることも、戦後の税制史の理解に役立つものである。

 第二部では、大島隆夫氏を聞き手とした歴代主税局長との対談が収録されているが、大蔵省時代はもっぱら税制の立案、税務行政に携わり、退官後も、国会議員として現在に至るまで一貫して税制改正に携わってきた村山逹雄氏との対談は、戦前、戦後の税制、税務行政の歩みと背景を知る貴重な資料である。

 また、歴代各局長との対談は、それぞれの時代の税制改正の背景や外部から伺い知れない苦心談のほか、当時の経済情勢、財政事情にまでふれており、単に、税制にとどまらず、財政全般の歩みを理解する上でも有益である。

 本書は、税制改正の実際の担当者による解説という類書にない特色を持つものであり、税制の歴史研究にとって貴重な資料を提供するものである。

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