公益財団法人租税資料館


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牛嶋 正 著
「租税原理」
 ―課題と改革―
(株式会社 有斐閣 平成16年6月刊)
 

 本書は、租税を財政学の観点から、著者の約40年に亘る永年の研究を踏まえて体系化された作品である。著者は、租税「理論」と租税「政策」との関係について、「目的」として前者は課税の「公平」を志向し、その目的ないし目標を実現する「手段」との整合性において租税「政策」を位置づける。そこにおける「目標=手段」の因果関係から、理論と政策とを表裏一体の関係にあるものとして捉えている。

 目標とされる「課税の公平」という概念が一義的に決定し得ない状況の中で、21世紀に相応しい税制を課税の公平の観点から積極的に取り上げ、その実現に向けての政策論を政治活動を通じて体得した経験を生かしつつ論を進めている。

 本書は、租税論における政策に重点を置きながら、それを支えるものとして、理論と歴史を据え、更に理論と政策との間に租税原理を介在させることにより、一体的な研究を推進する行き方がとられている。

 本書は、全体で5章から成り、第1章では「租税論の体系と租税原則」、第2章「戦後の租税研究の系譜」、第3章は「税の公平・公正に関する研究」、第4章は「税制の変遷と改革」と題し、最終章では「租税論の課題と挑戦」というテーマで締め括っている。

 5章立ての構成の中で、第3章には全体の約3割の紙数が割かれており、著者が課税の公平という面について、いかに意識して本書を書かれたかが伺われる。また、「租税論の課題と挑戦」では、少子高齢化社会に相応しい税制の在り方、グローバル化や環境問題と絡めての税制の在り方等についての、著者の思いが繰り広げられる。このような考察を通じて、21世紀における税制改革のあり方を展望する内容とされている。

 租税論一筋に研究を深めてこられた著者が、研究生活を通じ、また、過去6年間に亘る議員生活を通じての経験を生かしつつ、昭和25年以降のわが国租税研究の歴史を振り返り、それを5期に分かってそれぞれの時代区分における特徴を簡潔に取りまとめている。かくて、本書は、著者が40年に亘り租税論並びに財政学研究に捧げた情熱の結晶として実を結んだ作品であると評価され、審査会はかかる著者のひたむきな租税研究への貢献を讃える意味で、租税資料館賞をお贈りすることを決定したのである。

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