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岩ア 恵子 稿
「外国法人がわが国において行う投資活動から生じた収益に対する適正課税(源泉所得課税を含む)のあり方について」

(税務大学校論叢 第46号 平成16年6月刊)


 本稿は、最近の経済的取引の国際化・多様化に伴い、タックスヘイブンに所在するSPCを絡めたスキームに対処するには、わが国におけるすべての利子に対する国内源泉所得の規定を改正し、日米新租税条約のような規定に変更することが有効ではないかという提案を行っている。

 本稿は、具体的には、外国法人が日本国内で稼得した事業収益を無税で国外に持ち出すことを可能としているスキームを分析することによって、現行法人税法や所得税法上の問題点を探ることを目的としている。このスキームとは、外国法人は、外国での社債発行により得た資金を日本で投資して得た収益を日本で申告する場合に、海外投資家に支払った社債利息相当額を損金に算入できるが、海外投資家はわが国では課税されない。しかし、その資金を借入れにより調達した場合には、海外投資家は利息収入については日本の国内源泉所得として日本において課税されることになる。このような差異は、社債利子は債務者主義、借入れ金利息は使用地主義をとることからの差異によるのであるが、このような状況は現状に則しないという。そこで、同一の経済効果に対しては同様の課税を行うべきとの観点から、国内法を見なおして、同じ取扱いになるような改正しかないとしている。

 租税条約では、社債利子も借り入金利子も利子としてなるが、国内法では社債は債務者主義(「内国法人が発行した債券の利子」ではない外国法人の発行した社債利子は国外源泉所得に該当する)をとり、借入金利子は使用地主義(国内で業務を行う者に対する貸付金で当該業務に係るものの利子)と、取扱い上の差異があることの理由につき、明治20年所得税法創設以来からの経緯を調べており、多くの資料を参考としている。また、社債と借入金とを詳細に検討して、両者に違いを認めるのは現状のハイブリットな投資形態に十分対応できないとするが、解釈論によって解決すべきではなく、法改正によるべき、としている。

 SPCを利用した国際課税問題は、税の最先端問題であり、税金のプロパーでなければ扱いにくいテーマである。その点、現状認識の適格性と論理展開の首尾一貫性において優れており高く評価されるべきものである。

論叢本文(税務大学校のホームページへリンク)(PDF)・・・・・・572KB


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