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内藤 晃由 稿
「税務行政における地域管轄について」

 ―納税者利便及び行政効率の観点からの考察―
(税務大学校論叢 第44号 平成16年6月刊)


 本論文は、国税組織の基本構造を概観し(第1章)、税務署の地域管轄の変遷を丹念にたどり(第2章)、現行の地域管轄がもたらす税務行政上の問題点を明らかにし(第3章)、社会経済情勢の変化に対応した税務署の地域管轄の在り方を納税者の利便性と税務行政の効率性の二つの視点から考察したものである(第4章)。

 このうち、第3章「税務署の地域管轄設置の現状」では、税務署の分割・統合の事実上の諸基準を洗い出した上で、各署の行政水準の平準化を図るため納税者数や事務量に応じて定員を配置した結果、税務署間の定員格差が著しく拡大し、内部事務のウエイトが高くなる小規模署では、行政水準の低下を招いていると指摘する。複数の税務署にまたがる広域運営はその解消を図るための工夫であるが、指拝命令系統が複線化しているために、調査が長期化し、税務行政の効率を低下させる弊害もあるとし、筆者は、最近の市町村の合併の目的が日常社会生活圏と行政区域のズレを解消することであることと平仄を合わせ、税務行政の管轄区域も市町村の区域変更に合わすことを原則とすべきであるとする。

 また、第4章「今後の税務行政における地域管轄」は、この論文の結論として、当面の課題としての小規模署の見直しと中長期的な課題としての税務署の機能別再編についての筆者の試案がのべられているが、その要旨は次のとおりである。

(1)納税者数、管轄区域面積が狭小な税務署および市町村の一部を管轄し日常社会生活圏を税務行政上の地域が分断していると認められる税務署を当面の見直しの対象とする。

(2)税務署を次の三種の税務署に機能別に再編成する。
●一般税務署(納税者の通常社会生活圏の中心に配置され、窓口系事務に特化)
●基幹税務署(各都道府県所在地に配置され、各都道府県下の一般税務署の内部管理系事務と自署の窓口系および内部管理系事務に特化)
●調査徴収税務署(各都道府県下の商業圏または産業圏の中心地に配置され、調査系事務に特化)

 本論文は、税務行政における地域管轄の在り方を論じた意欲的な論文である。また、この分野の研究は皆無といってよかろう。深刻な財政危機のもと、適正課税の実現と行政の効率化が強く要請されている現在、今後の税務行政の在り方を考える際の手掛かりとして有益なものである。

論叢本文(税務大学校のホームページへリンク)(PDF)・・・・・・768KB


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