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森 浩明 稿
「国際間の徴収共助」
 ―条約上の徴収共助条項の考察を中心として―
(税務大学校論叢 第44号 平成16年6月刊)


 本稿は、我が国の海外滞納事案の急増に対処するために、また、(1)情報交換、(2)徴収共助及び(3)文書送達について定めた多国間執行共助条約が1988年に成立(1995年4月1日発行)していることに対応し、当該執行共助条約、多国間租税条約及び二国間租税条約の徴収共助条約を検証し、国際間の徴収共助の問題点とそのあり方を論じるものである。

 具体的には、我が国の海外滞納事案に対する対応方法を述べ、国際間の徴収共助の必要性を指摘し、徴収共助に関する租税条約に関し、(1)多国間税務執行共助条約、(2)OECDモデル条約、(3)USモデル条約、(4)ベネルックス条約、(5)北欧執行共助条約、更に、二国間租税条約の徴収共助規定に関し、(6)日米租税条約、(7)米・加租税条約等の徴収共助の概要と特徴を述べ、それらの徴収共助の問題点を検証するものである。

 これらの検討の結論としては、多国間執行共助条約の加入に当たっては、徴収共助要請を受けて外国租税債権を徴収することには、それらの要件が国内法上法定されていないこともあって租税法律主義違反の問題がしょうじるから、それらの法整備を図る必要があるとする。また、二国間租税条約を決定する場合には、一般的徴収共助条項を導入し、共助の対象となる租税の範囲等を明確にする必要があるとし、実施特例法中の優先権条項については、配当の局面における外国租税債権の位置付けを明確にする必要があるとし、更に、納税者や債権者の保護条項を導入して、関係者に対する法的安定性と予測可能性の確保を図るための法制度を整備すべきとする。また、多国間執行共助条約の批准に当たっては、元来、二国間租税条約の実施のために設けられている実施特例法について、徴収、配当、送金手続等の整備をするための見直しが必要とする。

 以上のように、本稿は、国際間の徴収共助問題について、主として、租税条約上の徴収共助条項を検討して、徴収共助のあり方を論じるものである。国際間にまたがる国税等の徴収問題は、国際的にも重視されているが、特に、我が国においては、国税の滞納者が外国に逃亡するケースも多く、重要な課題となっている。他方、国際間の国税徴収は、相手国の主権侵害にからむことにもなるので、国際法上の問題も重要視されている。その意味では、本稿は、時機を得た論文であり、種々の問題点が網羅的に検討されている点で評価できる。また、論述の方法についても、論理的にまとめられており、論文として一定の水準にある。

 よって、本稿は、租税資料館賞の受賞に値する論文として評価できる。

論叢本文(税務大学校のホームページへリンク)(PDF)・・・・・・628KB


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