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河辺 大亮 稿 (麗澤大学大学院 院生)
「国際的な電子商取引と消費税課税の一考察」 ―EUと日本の取り組み―
(麗澤大学大学院 修士論文 平成17年3月)


 国際的な電子商取引は急速に普及しつつあるが、日本の消費者が、海外の事業者から直接インターネットで、商品を購買した場合、その商品が有形物(CD等)であるときと、無形物(デジタル商品等)であるときとで、事実上、消費税の執行の取扱いが異なることとなり、また、その場合、デジタル商品の提供者が、国内に所在するか否かによって課税か、非課税かが変わってくる。 このような消費税の問題点について、本論文はEUの取り組み状況を参考にしつつ、問題点を検討したものである。

 まず、「序論」において、本論文の全体の流れをまとめ、国際的サービス取引について総まとめ的説明をして、課税関係の根拠条文を示している。そして、「本論」の第1章において、国際的サービスに対する消費税課税を総括的に検討し、第2章において、この問題についてのEUの対応を述べている。まず、第1章では、音楽配信サービスをこの間題の典型取引として捉え、その表題としているが、国際的電子商取引の急速な増加の状況をB to B(事業者間取引)とB to C(事業者対消費者取引)に分けて見ており、これが有体のCDによる場合とデジタル商品の提供による場合の課税の差異による問題を提示している。

 そして、有形物と無形物の取引に対する消費税の課税システムを、国内取引と輸入取引に分けて説明し、また、税務執行上の問題を国内取引と国際取引に分け、また、それぞれB to B取引とB to C取引に分けて検討し、結局、問題があるのは、国際的B to C取引の場合だけであると分析している。

 この間題についてのEUにおける対応を次の第2章において検討し、まず、消費税課税についての原産地課税(origin principle)と仕向け地課税(destination principle)の基本原則を説明し、サービスについてのEUの課税の仕組みを述べ、特に、アメリカの電話会社によるコールバックサービスの出現に対応したB to C取引への対応が述べられ、次に、一般的にサービス提供地の課税の有無による不利益解消の対策として、消費者の自己申告、登録制、送金制及び源泉徴収制が検討され、最後に、EUにおけるデジタル商品に対してEU外事業者が提供するサービスをPEの有無に拘わらずVATを課税し、EUからの輸出については輸出免税を認めるという2003年7月以後、実施されている新たな課税制度を説明している。

 本論文は急激に増大し重要な問題となっている電子商取引、特に、サ−ビス取引に対する消費税課税の問題を、EUの例に検討を加えながら論じたもので、時期に即した意義のある研究成果がまとめられている。説明にも要を得た図説が加えられており、特に、巻末には「EU、OECDにおける検討の経緯」や「E U第6次指令」の訳も付されており、有益である。我が国としての対応、消費(付加価値)税の基本的在り方などが今少し掘り下げて検討されることにより、更に貴重な資料とされるものであろう。

論 文(PDF)・・・・・・2.60MB


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