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松下 滋春 稿
「代理人PEに関する考察」

(税務大学校論叢第45号 平成16年6月刊)


 租税条約の適用において、「恒久的施設(PE)」は、最も重要な概念であるが、そのなかでも、従来、あまり検討されていなかった3号PE(代理人P・E(従属代理人))について、OECDモデル条約およびコンメンタール等を概観するとともに、具体的な諸外国の代理人PE課税事案に係る判例を取り上げて国際ルールの解釈、適用について考察を行っている。

 まず、代理人の意義について大陸系国家と英米系国家との差異があり、大陸法系においては、直接代理か、間接代理を区分するのに対し、英米法系においては、かかる区分を認めないことによる差異に関連して、同条約5条5項と6項の関連との解釈について、執行可能性の立場から、最も有効かつ実践的な見解を支持している。

 次に、具体的な判決を挙げて、解釈の動向を検討している。すなわち、日系保険会社の現地企業との契約をめぐって、独立代理人か従属代理人かが米国租税裁判所にいて争われた事案の検討を行い、モデル条約コンメンタールに準拠することの意義を強調している。また、子会社PEの可能性について米国企業のイタリア子会社に係るイタリア最高裁判所判決について、「準備的、補助的活動」の判断につき、国際課税の基本原則に沿った課税手法とは異なるやり方であるとの国際世論の動向にも言及している。

 現在では、PEの定義を適用する際には、「特定の企業」に着目することが要求され、「法人グループ全体」で検討するものではない、とされている。すなわち、親会社自身の管理活動と、子会社の親会社に対する役務提供とを混同すべきではない、また、外国企業とはあくまでも別個の法的主体である子会社と支店等を混同しているのではないか、ということである。

 最後に、外国企業が日本子会社との取引を仕入れ販売方式から問屋契約に変更する傾向に関して、OECDモデル条約5条6項にいう「独立代理人」基準を満たすか否かの問題において、この独立性は、「経済的独立性」や「本人の数」、あるいは「本人を拘束するかどうか」などを検討して判断されるべきことを提言しているが、OECD租税委員会において、代理人PEの要件や認定後の課税所得配分についての世界的な共通ルールの策定が望まれる、としている。

 代理人PEという実務上、問題となりやすいテーマについて、代理人概念の捉えかたの差異から検討し、あるいは、判決、学説等も織り込んで深度のある検討をするなど、高く評価されるべきものである。


論叢本文(税務大学校のホームページへリンク)(PDF)・・・・・・720KB


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