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石田 光正 稿
「相続税における土地評価の研究」
 
  ―財産評価基本通達によらない時価評価による課税の検討を中心に―
(修士論文 東洋大学大学院院生)


 本稿は、相続税法における土地の「時価」の評価のあり方を論じるものである。「時価」の意義については、いわゆる客観的交換価値説が通説的に採用されており、著者もこれを支持するのであるが、「客観的交換価値」それ自体が抽象的概念である。そこで、財産評価基本通達では、各財産ごとに評価方法を定め、その評価額を「時価」として取り扱うよう指示している。

 本稿で問題となっている土地就中宅地については、「路線価方式」によって評価するという土地評価基準制度が採用されており、実務的にも受け入れられている。しかし、この評価基準制度の下では、1年に1回の路線価の付設であり、その年の1月1日現在の評価であるため、その1年間に地価が著しく変動すると、その路線価が法が予定している「時価」から大幅に乖離することがあり得る。

 そこで、財産評価基本通達6項では、路線価等の通達上の評価額が著しく不適当となった場合には、国税庁長官の指示によって評価をし直す旨定めている。

 本稿では、このような相続税法及び財産評価基本通達における土地の時価評価の構造と問題点を整理し、6項の問題点と適用のあり方を論じる。その論述においては、土地の時価評価をめぐる判例、学説を詳細に紹介し、時に、6項適用に関するものについて詳述している。

 そして、本稿の主題たる6項の適用のあり方については、路線価等の評価基準による評価が「著しく不適当」という要件について、租税回避の存否というような主観的事項に左右されることなく、当該財産(土地)の本来の「時価」と当該評価額との開差が著しいという客観的事項に限定すべきであると説いている。また、6項における「国税庁長官の指示」という平続的要件については、その内容が納税者側に対しても明らかにされるべきであると説く。

 このような6項の適用のあり方については最近の裁判例の問題点を的確に批判するなど結論としては妥当なものと評価できる。また、論文全体としては、数多くの裁判例、学説を紹介、分析、検討しており、修士論文としては評価できる。

 しかしながら、裁判例、学説等の検討に当たっては、それらの内容を正確に把握し切れない所も見受けられ、主体的に意見をまとめ切れない所もある。また、表題が「―財産評価基本通達によらない…」としているが、6項それ自体も同通達の一部であることを理解していない。これらの問題については、今後の研究のための検討課題にして頂きたい。


論 文(PDF)・・・・・・4.57MB


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