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譚 桂蓮 稿
「日本の法人税法と中国の企業所得税法についての比較研究」

(未発表)


 本論文は、法人税について、税制の制定過程、体系、計算構造等の日中比較をし、それぞれの沿革から将来の在り方の展望まで試みたものである。

 まず、日本の法人税について所得税の一種として位置されていた時期、独立の税として規定された時期、シャウプ改正期、全文改正期及び国際対応期に分けて、その変遷を見ている。次に、中国の企業所得税について、1950年の「全国税政実施要則」に基づく「工商業税暫定条例」から始まり、初期の国営企業所得税の時期から、80年代初期及び同年代後期の改革から内外企業に統一的に適用される税となった90年代の改革、さらに、国際化されたものになる2000年以降の改正から、最近の2007年税法までの変遷を述べている。

 第三章においては、日中税制の比較を行い、立法過程について、日本の場合、税制改正の主導権は財務省にあり、憲法上の国会の立法権は形骸化しており、また、中国についても、税収立法の公開制度や公聴会制度の制定の必要性を述べている。さらに、税制機能の比較では所得再配分や経済成長に資す機能は日中とも経済発展の段階に応じているものであるとし、租税原則については、日中とも公平の原則と租税法律主義が重視されているとし、税体系については、直間比率の比較で直接税の割合が日本は高いが、今後は、少子高齢化などからこの割合は低下するであろう、と述べている。

 次に、所得計算の内容の比較を行い、受取配当、交際費等、給与等の検討を行い、さらに税率等の比較をし、交際費、寄付金、受取配当、引当金、減価償却費及び優遇税制についてより細かな分析と比較を行い、国情の違い等による差異などを述べている。

 最後の国際課税に関して、移転価格税制と外国税額控除制度を比較し、前者についてはOECDガイトラインを参考とし、基本的には国際的に共通した制度となっているとし、評価している。

 本論文は、以上のような検討を、中国については中国の税務当局や図書館等で得た一次資料により詳細に行っており、著者は本論文をまとめるのに三年間を要したと述べているが、その労苦が十分実った優れた論文となっている。もちろん、例えば、日本の法人税の変遷について、同族会社の計算否認規定の創設や申告納税制度への改革などに触れられていない点や、日本は法人擬制説により中国は実在説に拠っているとする一面的見方などの問題はあるものの、著者も述べているように、これまでの中国所得税の研究はマクロ経済学的検討が多かったのに、実体規定の内容を細かく分析して比較検討した本論文は、学術的のみでなく実務的にも有意義な労作であると認められ、特に、日中の経済関係が重要となっている時期だけに時機を得た論文であると評価される。


論 文(PDF)・・・・・・19.0MB

(注) ファイルサイズ(19.0MB、290ページ)が大きいため、ダウンロードの際はご注意ください。

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