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日野 一義 稿
「我が国の過少資本税制の効果」

―複雑化する資金調達方法への対策を中心として―
(修士論文 国士舘大学大学院院生)


 本論文は、実質出資者に対する利益配分を、利子の形で流出して配当課税を免れることを規制する過少資本税制が、最近の動向に対応して実効を発揮するための問題点を検討したものである。

 まず、配当と利子の課税上の差異を述べ、一般的な租税回避行為規制規定である法人税法の22条と132条による規制の限界を述べている。 わが国の規制税制の概要を述べて、控除を否認された利子は、その後においても損金化される可能性がないこと、受取り側では配当とされる等、国際的整合性を欠くという問題が指摘され、OECDモデル条約を範とする租税条約の整備を進める必要性が述べられている。

 以下、最も問題の多いハイブリッドファイナンス対策についての検討について考察の範囲を絞ることとしている。優先株、劣後株のように出資でありつつ実質、貸付けのようなエクイティファイナンスがある一方、転換型新株予約権付き社債や利益参加社債のようなデットファイナンスがあり、さらにこの区別がはっきりしないハイブリッドファイナンスがあるが、これらの区分基準について米国のアーニングストリッピングルール(一定以上の利子支払いの損金算入を認めないもの)による対処が述べられている。

 以上を受けて、今後の対策が論じられ、まず、企業実態は変えないで多国籍企業によるインバージョン取引の規制、実質支配者回避のためのアコモデーションパーティースキームの規制及びこれらの租税回避行為を基本的に制約するため、これらの取引に関与するタックスプロモーターヘの対抗措置の強化等を提案している。

 内外投資の増大、会社法改正、ハイブリッド取引の増大などで、過少資本税制の機能強化の必要性が増えている現状を踏まえ、わが国の制度が実効を確保するための問題点と方策を米国の制度などを参考にして研究した論文であるが、特に、その問題提起に大きな意義があるものと認められる。


論 文(PDF)・・・・・・2.90MB


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