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佐々木 浩規 稿
「宗教団体課税制度に関する一考察」

 ―宗教団体免税制度における審査基準の構築を中心に―
(専修大学大学院 院生)


 宗教法人は宗教法人法の定めにより、布教活動等を目的として設立される非営利法人であるが、その本旨から逸脱して営利を求め、財産の蓄積に努め、よって租税回避あるいは脱税に近い行動を行っているものも散見される。そうした宗教団体を放置することは健全な宗教法人の保護育成に悪影響をもたらすことはもとより、とくに税務行政の基本である課税の公平性を損なうことになるともいえる。そこで、本修士論文では、広く宗教法人に対して非課税措置を講じていることが妥当といえるかという観点から、主務官庁の許可制イコール免税とせずに、国税庁にその審査権限を移譲し、それを通らないものに対しては課税対象とする制度の策定を提言している。

 その免税制度の構成内容としては、その免税団体の範囲、免税要件、免税資格取消要件を掲げ、さらに免税措置を申請した宗教団体が前記要件を満たすか否かを審査する際に、課税庁の恣意性を排除するために、その審査を法規最良行為と位置づけている。そのうえで、課税庁は免税資格要件をもとに、個別具体的に審査を行う宗教団体免税制度の導入を検討すべきとした。

 このような宗教団体免税制度に合理的妥当性が存することを実証し、その上で審査基準を策定することを提言している。このような制度設計を実現することによりはじめて、各宗教団体の免税資格を具体的に検討できるであろうとしている。

 わが国において、現在、財団法人、社団法人に対しては税制改革が進められており、許可主義から準則主義へ、そして審査委員会を通して公益の認定が受けられれば非課税措置の対象となり得る。課税の公平性からみれば宗教法人においても税制上の見直しが進められるべきといえる。本修士論文でもその方向への勧告がなされている。ただ、このたびの財団法人、社団法人での税法上の非課税要件との整合性については、今後検討がなされるべきといえようし、また、免税制度の構成内容について、その多くをアメリカの免税制度を参酌しているが、日本はアメリカと異なり、多宗教の民族国家であり、アメリカとの異なる仕組みや習わしにも十分に配慮がなされるべきである。

 本修士論文においては、このように今後の更なる研究を期待するところがあるが、宗教法人に対しては、課税に聖域なしというところで、他団体の公平性という観点では、税制の見直しは必至であり、そういう意味では大変適時的であり、有意義な論文として評価することができる。


論 文(PDF)・・・・・・677KB


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