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平井 健之 稿
「固定資産の減損に関する税務と会計の差異の調整」

(早稲田大学大学院 院生)


 本論文は、固定資産の減損会計基準と法人税法の規定に相容れないところが多く、両者の調整が図られていないという現状を憂慮して、両者の差異および問題点を明らかしたうえで、両者の差異をいかに調整するかについて検討したものである。

 第1章では、「固定資産の減損に係る会計基準」の内容を概観し、その基本的な考え方および計算の仕組みを明らかにしている。

 第2章では、企業会計上の減損処理に対応する法人税法上の規定、すなわち、増加償却、陳腐化償却、耐用年数の短縮、資産の評価損を取り上げ、さらに、企業会計上の減損損失が法人税法上どのような取扱いとなるのかについて詳しく検討している。

 これらの検討を受けて、第3章では、企業会計と法人税法の差異と問題点について、対象とする資産(グルーピングの問題)、減損処理の要件、資産の評価方法に分けて考察し、減損損失が法人税法上極めて限られた場合にのみ評価損として認められることを確認している。さらに、資産の評価方法については、いわゆる「時価」の問題であることを指摘し、企業会計と法人税法の共通点と差異を明らかにしている。

 企業会計と法人税法に差異が存在する場合、法人税法が確定決算主義を採用している以上、両者の調整が必要とされるが、第4章では、両者の差異を調整する方法として、(1)解釈による方法、および、(2)立法上の措置、の2つを取り上げて、仔細に検討している。

 検討の結果として、(1)の法人税法の現行規定の解釈を弾力化することによる調整には限界があることを指摘し、(2)の立法上の措置による調整方法として、陳腐化償却や資産の評価損の計上事由に減損損失を明示する方法、資産の評価損に減損損失による損失を加える方法などを提案している。

 以上のように、 本論文は、企業会計上の減損処理に関連する法人税法上の規定を詳細に分析し、企業会計と法人税法の差異と問題点を明らかにし、両者の差異を調整する方途を探ったものであり、修士論文として手堅くまとめられており、租税資料館奨励賞に相応しい作品といえよう。


論 文(PDF)・・・・・・539KB


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