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古川 千津子 稿
「第二次納税義務に関する一考察―原告適格を中心として―」

(国士舘大学大学院 院生)


 本稿は,第二次納税義務の告知処分が行われた場合に、当該第二次納税義務者に対して、原処分についての原告適格を認めることにより、権利救済の途を一層拡大することを論ずるものである。

 第二次納税義務者(本来の納税義務者と一定の関係にある者に、その納税義務者の租税債務を負担させる制度)は、第二次納税義務特有の権利救済に関する規定が定められていないことから、通常の(本来の)納税義務者に比べ不利な立場に置かれている、と理解されている。すなわち、第二次納税義務者は、自己の地位、権利を守るための税務訴訟において、争うことすらままならないのが現状である。特に、第二次納税義務者は、その義務の前提となっている、本来の納税義務者に対する課税処分の効力を争うことができない、という原告適格にかかる障害が存在する。そこで、本稿は、原告適格の範囲はどうあるべきか、を中心とし、その他、第二次納税義務の告知処分に係る訴訟で、課税処分の違法性を主張することができるかなどの問題、訴訟提起するための障害となると思われる事項(出訴期間の起算日、無効・取消の判断基準)、についても、検討するものである。

 その際、第二次納税義務の原告適格に関する判決(最高裁昭和50年8.月27日判決、平成18年1月19日判決等)や、学説(消極説、積極説)を紹介、検討している。そして、近時、原告適格の範囲は拡大される傾向にあることを述べ、その範囲がどこまでか(第二次納税務者の一般についてか、或いは特定の第二次納税義務者に限定されるのか)等を検討している。もっとも、あらゆる第二次納税義務者に対し原告適格を認める必要はなく、権利救済の必要のない第二次納税義務者も存在するからであるとする(未だ納付告知処分を受けていない者など)。

 行政事件訴訟法等の改正が求められている現在、本稿のテーマは時宜をえたものである。

 また、内容的にも、多少、整理が不十分な部分があるものの(原告適格と違法性の承継とが混合している部分がある)、学説、判例の検討も、必要な範囲でなされており、訴訟等における権利救済の途を、不利益処分を受けた者一般に拡大すべきとすることは当然のことであり、労作として評価できる論文である。


論 文(PDF)・・・・・・663KB


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