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林 めぐみ 稿
「自社(自己)株式の税法上の評価」

 ―発行会社の取扱いを中心に―


 本稿は、非上場株のうち、自社(自己)株式の評価の在り方を論じるものである。まず、その会社と関係のある者(代表取締役等役員、その家族、従事者、持ち株会等)が取引する場合の当該株式を自社株と定義し、さらにそのうち、当該株式の発行株式の所有する株式を、「自己株式」として別途扱っている。

 非上場株式の評価は、各税法上の「時価」または「価額」の解釈の問題であるが、実務においては、財産評価基本通達等に依存している。しかし、この財産評価基本通達の問題点は、自己株式の評価における「発行会社」の取扱である。すなわち、自己株式の取得は、経営権の集中や株式の分散防止などに有効であり、事業承継の円滑化等に活用されている。しかし、評価基本通達上、その課税関係は明確ではなく、特に、その自己株式の評価方法が不明確であるため、その積極的な活用がなされていない。非上場株式の評価は、その株式の所有者または取得者が同族関係者であるのか、または少数株主化によって、評価を異にするが、その株主の判定における「発行株式」の取扱が不明確である。そこで、発行会社について、同族会社に準じて扱う旨の定めをし、発行会社が少数株主から自己株式を取得する場合には、発行会社を少数株主と同様に扱うこともできるよう弾力的に対応することが望ましい。

 また、自社株式の評価についても、各税目間の取扱いが異なる等の問題点を抱えている。所有者または取得者が、それぞれ個人であるか法人であるかにより、その取引される自社株式の評価方法が異なるからである。例えば、同族会社の株主から」発行会社が取得したばあいには、同族株主である譲渡者には、所得税基本通達59−6により原則的評価となるが、譲受者である発行会社は法人税基本通達9−1−14により例外的評価たる配当還元方式によることになるように異なっている。

 さらに、会社法、経営承継円滑化法等の非上場株式の評価についても、税法上の評価と比較することにより、税法上の評価のあり方を提言している。

 すなわち、発行会社の取扱について、発行会社を同族株主に準じてあつかうべきであり、また、発行会社が少数株主から自ら取得した場合には、発行会社を少数株主と同様に扱うことができるよう弾力的に対応すべきである(77頁)。

 また、会社規模区分における従業員数は、上場基準と関係のないものを規模区分に算入しているが規模区分の簡素化を図るべきである。その他、法人税額等相当額の控除(42%から20%程度に引き下げるべき)、引当金、配当還元方式(配当還元率の10%は高すぎる)、種類株式の評価方法が確立していない(特に無議決権株式)、などの提言をしている。また、(各税法間の関係のあり方)(82頁以下)において、所得税と法人税の非上場株式の評価を定めた規定の内容に、微妙な差異があるので、それらを合わせることが必要である、としている。

 現実的な視点から自己株式の評価に関する税法上の問題を総合的に論じた、優れた研究である。


論 文(PDF)・・・・・・499KB


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