公益財団法人租税資料館


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板谷 智之 稿
「公益活動支援と税制」

―公益活動のグローバル化に伴う税制のあり方―
(立命館大学大学院 院生)


 平成20年に公益法人税制の見直しが行われたが、グローバル化を念頭に置いた議論はなされず、租税条約上も公益法人に関する規定は存在しない。そこで、本稿は投資や寄付のグローバル化や国境を越えて活動する公益法人等の我が国の課税取扱い(外国公益法人等に対する寄付金等の取り扱い)やその前提条件について、各国の取組みを比較検討し、税制の望ましい方向性について論じることを目的としている。

 まず、わが国における公益法人課税と寄付金課税について、国内公益法人等と外国公益法人等の課税取扱を比較している。そこでは、相互主義を条件として外国公益法人の日本国内源泉所得について非課税とするとしている。外国への投資した場合等に非課税措置は認められない。寄付金控除も個人、法人の別を問わず、外国公益法人への寄付の場合には認められないという状況を示している。

 次に、租税条約上、相手国の源泉徴収税率について、一般的に国内法よりも低い税率が適用されるが、公益法人が、租税条約の便益を受けることができる適格居住者に該当するかを検討している。一般的に居住者とは、住所等の基準により・・課税を受けるべきものとされる者をいう、とされることから、公益法人が「当該一方の国において課税を受けるべきものとされるものとされる者」に該当するかどうかも検討すべきである。この点について、IFAのセミナーや、OECDモデルコメンタリー、USモデル租税条約等の見解を紹介してあるべき課税取扱を検討している。

 外国公益法人に対する寄付金について、(1)報告書の提出を条件として控除を認める国、(2)自国に便益がないとして控除を認めない国、(3)国内公益法人等を通じて寄付する場合を認める国、(4)免税団体の設置を通じて認める国などがある。しかし、直接外国公益法人等に対する寄付金は控除を認めないが、国内公益法人等を通じて外国公益法人等への寄付金は控除が認められることなどから、直接の場合も認めるべきとの意見もあることから、公益法人のグローバル化を念頭において課税のあり方を整備すべきとしている。

 本稿は、寄付金に対する世界的な課税関係と日本国内における課税との関連等など近時のグローバル化を前提として生じる種々の問題につき、多くの外国の文献を基にして、それらに対する考え方を紹介、説明しており、その内容は、日本における課税の在り方の方向性を示すに役立つ優れた論文であるというべきである。


論 文(PDF)・・・・・・390KB


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