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本庄 資 著
「アメリカの移転価格税制」 「アメリカの移転価格税制の執行」

(社団法人 日本租税研究協会 2009年12月刊)


 「アメリカの移転価格税制」は、アメリカの移転価格税制及び同税制の執行について、その歴史的変遷と、そのつど議論された主要な論点などを含め、体系的かつ網羅的に検討した研究書である。

 税制については、第1編において、アメリカの移転価格税制の発展においては、移転価格税制の誕生、アメリカの移転価格税制に関する理論、1994年財務省規則(最終規則)の制定、移転価格課税の不可欠の条件―文書化の推進へと歴史的変遷を踏まえて、税法のルール、適用要件、基準等について、第2編において、現行移転価格税制の論点である、優先順位固定から最適方法ルールへの発展、有形資産及び無形資産の移転価格税制、コスト・シェアリング・アレンジメント、サービス取引の移転価格税制などについて、第3編において、移転価格操作をめぐる問題として、移転価格とタックス・ヘイブンおよび移転価格とマネーロンダリングの問題などを、網羅的に検討している。

 次に、執行に関する「アメリカの移転価格税制の執行」は、第1編において、アメリカ移転価格税制の執行、IRS再生改革、第2編において、新しいIRSの移転価格調査体制、第3編においてIRS LMSB局移転価格調査ルール、第4編において、IRS LMSB局国際的移転価格調査体制、第5編において、「和解」を基本とする移転価格課税における不服審査局の重要な役割、第6編において、アメリカ移転価格訴訟、第7編事前価格決定合意について、詳細に検討している。

 資料的には、「税制」については、既に他の先行研究により紹介済みの部分も含まれているが、「執行」においては、新規な紹介に係る部分が多く、アメリカ税務行政が経済性・効率性・実効性および透明性を指標とし、また、2007年にIRSの内国歳入マニュアルを改正したが、オバマ政権下で、さらに改正される可能性があること、移転価格課税に不可欠な情報の入手を高める政策など、多くの参考となると思われる。

 本書は、アメリカの移転価格税制とその執行について体系的、網羅的に紹介し、特に、執行については、多くの新規の、有益な示唆を提示しており、学術的にも優れた研究書であると評価されるべきものである。


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