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大野 裕之 稿
「所得税の重税感
 ―『日本版総合的社会調査』個票データによる諸要因の分析―」


 本論文は、『日本版総合的社会調査』のアンケート調査の個票データを用いて、人々の重税感に影響を与える要因を分析している。

 分析によれば、

  • 所得税の累進構造を反映して所得の高い人ほど重税感が大きい。
  • 自営業者はそれ以外の人に比して重税感が低い。
  • 高学歴者は所得を軽めに感じている。
  • 政治意識では保守的な人ほど重税感が少ない。
  • 町村居住者には重税感が少ない

 などの傾向が認められるとしている。

 さらに、この分析結果をもたらす理由、根拠を推察している。また、全体的な重税感は2000年から2001年に増大し、2003年から2005年にかけて低下していることを見出している。

 税制を一般の人々が語る際、重税感は重要なキーワードであるが、重税感を測定することは難しいため、これまで十分な研究がなされてこなかった。本論文は、重税感につき『日本版総合的社会調査』のアンケート調査の個票データに基づく計量経済学的な分析を行っており、貴重である。分析結果は、低所得者、自営業者、高学歴者、保守的な者、町村居住者等の重税感が小さいという一般の認識と整合的な結果であり、妥当なものと考えられる。特に本論文においても指摘されているように、自営業者の重税感が小さいというのは、サラリーマンと自営業者の間の実質的な税負担が異なるとの見方を支持するもので大変興味深い。

 総じて、分析手法自体は比較的単純なものの、これまで十分分析がなされてこなかった抽象的な重税感につき、その要因を計量的に分析した研究として、今後の税制改革の議論等への貢献が大きい分析であり、受賞にふさわしい論文と考えられる。



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