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中嶋 美樹子 稿
「クロスボーダーレポ取引と課税」

(関西大学大学院 院生)


 本論文は、金融機関の外貨獲得の重要な手段であるクロスボーダーレポ取引(国境を越えたレポ取引)の課税上の取扱について、特にこの仕組みに対する課税が国により異なることを利用した租税回避への対応に焦点を当て、検討を行ったものである。

 レポ取引には、債券レポ取引、現先レポ取引、クロスボーダーレポ取引などがあり、平成21年度税法改正では、クロスボーダーレポ取引は「貸付金」で、レポ差額は「利子」に該当するという改正を行った。この改正に関連して生じうる問題、すなわち、レポ取引の国際化による二重課税或いは二重免除の可能性があることを指摘した。次に、各国におけるレポ取引に対する取扱いが異なることから、二重免除を意図的に狙ったスキーム、例えば、売買取引や担保付貸付として統一されていないことによって、一方の国では課税売上を発生させず、他方の国では税額控除を生み出すようなスキーム、を作ることが出来るとして、これらの対応策として、OECDや米国、英国、ニュージーランド等において採用されている方策(租税条約における一定の制限を設ける、或いは包括的租税回避規定を適用するなど)を紹介し、検討している。

 結論として、平成21年度税法改正によるクロスボーダーレポ取引に対する課税規定は一定の評価ができるものとしたが、国際的な租税回避スキームへの対応が出来ていないことを指摘している。そこで、日本においては、国内法では、人工的な経費の控除の制限、租税条約上では、所得の分類を各国と同じものにすることなどの採用を提言している。なお、包括的租税回避規定の導入には慎重にすべきとしている。

 平成21年度税法改正による問題点を取り上げていること、外国の取引事例の問題点を掘り下げて良く検証していること、日本における対応策の在り方において具体的に提案していることなど、評価の値すべきと思われる。


論 文(PDF)・・・・・・453KB


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