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布施 恭祐 稿
「クロスボーダー三角合併の課税問題」

(早稲田大学大学院 院生)


 本論は、平成19年より解禁された三角合併によって可能となった、クロスボーダーの組織再編税制につき検討を行い、日米の税制、特にインバージョン対策の比較と今後の課題について論じたものである。

 まず、第1章では、三角合併の導入の経緯と意義、組織再編の実例、コーポレート・インバージョン、会社法上の三角合併の取扱いと手続きについて概要を説明した上で、第2章においてはわが国の、第3章においては米国の、それぞれ三角合併に対する組織再編税制及びインバージョン対策税制について説明している。

 これら前半の説明を受けて、後半第4章において、三角合併の適格要件及びインバージョン対策税制について日米の税制を比較することによって、その問題点を抽出し、第5章において、あるべきクロスボーダー三角合併に対する課税の方向性について検討を行っている。

 新会社法の施行に伴い、わが国も平成19年5月以降、クロスボーダーの三角合併が可能になった。しかし、同時に、インバージョンを利用した国際的租税回避に対応する必要に迫られることとなった。クロスボーダー三角合併の問題は、最近の問題の一つであり、日米の制度を比較検討することで、わが国で三角合併における税制上の問題点を論ずることには意義がある。

 筆者は、国際的な租税回避に対応するためには、インバージョンを行うインセンティブを無くすことが重要であり、それには法人税率の引き下げが最も本質的な解決策であるといい、管理支配地基準の導入については有効ではあるが、対応できない問題もあると指摘している。

 第4章の日米比較の第1節で指摘している問題点の多くは、外国会社との合併や株式交換が認められていない点や逆三角合併が規定されていない点など、課税問題というよりも会社法制の問題のように思われる部分もあるが、全体として本論では、現行制度の説明のみではなく、改革の具体的な提案もなされており、その点は評価できる。特に、事業関連性の判定において、法的な合併法人と被合併法人の間の事業関連性のみではなく、合併親法人との事業関連性も考慮すべきとの指摘等は興味深いものである。

 以上、修士論文として手堅くまとめられており、奨励賞として評価することができよう。


論 文(PDF)・・・・・・1.15MB


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