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宮崎 智視 ・佐藤 主光 稿
「応益課税としての固定資産税の検証」

(内閣府経済社会総合研究所『経済分析』 第184号 2011年1月)

 本論文は、我が国の市町村段階における基幹税たる固定資産税につき、応益原則の観点から、その役割を強化すべきであるとの主張に対して、現行制度においては、固定資産税は、地方自治体の課税自主権が制限されていることから、応益課税とはなっていないという議論の対立がみられることから、いずれが正しいかを論証するものである。加えて、今後、地方分権が進み、公共支出と固定資産税収とが完全にリンクした場合を想定した場合、固定資産税の応益性が確保されるかどうかを数値計算により分析している。

 その結果、現行固定資産税は、居住者にとっては、応益課税となっている一方、住宅所有者(居住者ではない者)にとっては応益課税でない可能性が証明され、他方、公共サービスと固定資産税収とを、予算制約上関連づけたケース(=地方分権ケース)における数値計算からは、受託所有者の税負担が公共サービスにより減殺され、住宅所有者においても応益課税となりうることが示されている。

 しばしば、地方税については、行政サービスと住民負担との関係が密接であることから、応益課税の立場から、住民の負担すべき租税の種類を決すべきであるといわれている。その典型が、固定資産税である。しかし、現行地方税法によれば、固定資産税の納税義務は住民でない者であっても住宅所有者であれば負担しているし、また住民における負担と受益との関係も実証されていたわけではなかったから、固定資産税が応益税といえるかどうかについては、厳しい議論の対立があった。

 本論文は、このいわば感覚的な議論に対して、数理分析を加え、固定資産税の応益性の有無について、実証した点に意義がある。この点で、問題意識に関する論理性、実証性は優れている。他方、固定資産税の地方税としての相当性は、応益性の有無の観点だけから判定されるべきものではないから、今後、本論文の成果を前提として、固定資産税の将来あるべき制度設計を研究されるとより有益であると期待される。


「経済分析」184号本文(内閣府経済社会総合研究所のホームページへリンク)(PDF)・・・・・・839KB


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