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窪田 良一 稿
「第二次納税義務者の権利救済に関する一考察
  ―国税徴収法第39条を中心として―」

(大阪経済大学大学院 院生)

 主たる納税義務者と第二次納税義務者の関係の密接度は、救済の度合いに影響するが、国税徴収法39条の取引相手によっては、なぜ自分が第二次納税義務を追求されるのかが釈然としない事例も時にはありうる。本稿は、第二次納税義務者に対する権利救済手続が十分でないことに着目し、その改善策を検討し、提言するものである。具体的には、第二次納税義務者に対して主たる課税処分の瑕疵を直接争い、不服申立て適格を認めた最高裁平成18年1月19日判決(民集60巻1号65頁)を評価しつつ、国税徴収法39条を中心にして、主たる納税義務者に対する課税処分そのものを第二次納税義務者が争うことができるのか、判例の射程は国税徴収法39条の第二次納税義務者に限られるか否か等の残された課題について論じる。

 本論文は、第二次納税義務制度の沿革を踏まえ、制度を概観した後、第二次納税義務者の権利救済制度をめぐる問題点を明らかにする。

 さらに、第二次納税義務者に原告適格を認める積極説と消極説を検討し、関連裁判例の分析から原告適格を認める方向性にあるとし、上述の平成18年最高裁判決の射程範囲が明確でないことを指摘する。筆者は、下級審の判断を踏まえ、第二次納税義務者と主たる納税義務者が一体性又は親近性がある関係にあると認められない者で、かつ、主たる納税義務者が租税訴訟に及ばないか、途中で降りてしまった場合の第二次納税義務者が平成18年最高裁判決の射程範囲であるとし、判例の積み重ねによって第二次納税義務者の射程範囲を明確にしていく必要性を主張する。

 本論文は、第二次納税義務者の権利救済の課題を再検討したものであり、問題意識は明快である。近年の経済取引や税制の複雑化とそれに対応したタックスプランニングの高度化を反映し、租税負担の回避を図るような取引が増大しており、それに対する第二次納税義務者の告知や争訟事件も多く、なかでも、著者が指摘する国税徴収法39条の適用要件に関するものが最も多い。本論文のテーマは時宜を得たものであり、筆者は、審判所裁決、第二次納税義務者の原告適格に関する学説、「主たる課税処分」と「納付告知処分」の違法性の継承に関する学説、裁判例を丹念に検討しており、その提言も説得力がある。裁判例等の引用方法や整理にやや雑なところが見受けられるものの、第二次納税義務者を条文ごとに負担範囲を表す限度の有無とその内容という基準で類型化した広範な検討を行っており、労作として評価できる。


論 文(PDF)・・・・・・486KB


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