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沖村優輝 稿
「投資ファンドの租税条約適格性に関する一考察」

(立命館大学大学院 院生)

 本稿は、経済のグローバル化に伴い、国境を越えて行われる投資ファンドの租税条約上の適格性を論じるものであるが、論文の構成は、次のようになっている。

 第1章 投資ファンドの租税条約上の問題点
 本章では、まず、本稿で対象にする「投資ファンド」の用語について、投信法に基づく「証券投資信託」、「公募型の投資信託」及び「投資法人」の各事業体に限定し、当該投資ファンドについて、国内における問題、国際的側面における問題及び租税条約適格性の問題について論じている。

 第2章 投資ファンドの租税条約適格性についての検討
 本章では、前章で定義した投資ファンドについて、OECDモデル租税条約における適格性を検討する。その結果、当該投資ファンドについては、租税条約上の「者」、「居住者」、「受益者」の各要件を満たさなければならないところ、現状では、そのような要件を満たしていないことが判明した、とする。

 第3章 投資ファンドを利用したトリティ・ショッピングへの対処
 本章では、OECDが提案するトリティ・ショッピング規制条約と現行の租税条約を基として、今後我が国が採るべき規制方法として、新日英型の特典条項、派生的受益基準、新日豪型の主要目的テスト、導管取引防止規定等を新たなTS防止規定として導入すべき点である、とする。

 終章 おわりに
 本章では、第三章で述べたことを結論としながらも、任意組合型や匿名組合型の投資ファンドについても、租税条約上の適格性について検討を要する、とする。

 以上のように、本稿は、投資ファンドの租税条約上の適格性を論じることによって、当該投資ファンドに係るトリティショッピングの防止策を論じるものである。著者が指摘するように、投資活動がグローバル化する中で、投資ファンドに対する課税のあり方、就中、租税回避への対処については、今後一層重要性を増すものと考えられる。また、このような問題については、先行論文よりも少く、本稿が先駆的役割も果たすことも期待できる。更に、本稿では、種々事例を想定して、解り易いように図解するなど、実証上の工夫もこらされている。このような視点から、本稿は、受賞論文として評価できる。

 しかしながら、本稿については、論文の構成等においてやや難があり、結論についてもやや一方的な所が見受けられる。よって、それらの点について、今後一層の研鑽が望まれる。


論 文(PDF)・・・・・・408KB


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