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市澤 正昌 稿
「金融機関に対する付加価値課税の検討」
(立教大学大学院 院生)

 本稿は、金融サービスに対して非課税措置が適用されることにより、金融機関に対する付加価値課税が大きく脱漏し、他産業との公平性が著しく損なわれていることを、財務諸表及び国民経済計算を用いることによりミクロ・マクロの両視点から論証し、この問題は消費税制度の非課税措置により生じる最大の問題ととらえ、金融機関の提供する付加価値に対する課税を強化すべきことの必要性を明らかにすることを目的としている。

 本稿は以下の5章により構成されている。

第1章 日本の消費税制度
第2章 付加価値税における金融サービスに対する非課税措置
第3章 金融機関に対する付加価値税課税の検討
第4章 金融サービス課税の国際比較
第5章 日本の金融機関の付加価値に対する課税の在り方

 金融機関の提供する付加価値に課税を行うことの必要性を確認の上、諸外国において提案されている課税方法を、数値例を用いて詳細に分析し、日本に導入すべき課税方法を具体的に検討している。

 金融サービスに対して非課税措置が適用されることにより、金融機関に対する付加価値課税が大きく脱漏し、他産業との公平性が著しく損なわれていることを、一般事業者と銀行の損益計算書財務諸表及び国民経済計算を使用することでミクロ・マクロの視点からから確認したうえで、金融機関に対する付加価値税の課税を強化すべきであることを論証している。

 この不公平問題を解決する上で諸外国において提案されている金融機関の金融サービスに対する課税方法を、数値例を用いて詳細に分析し、日本に導入すべき課税方法を検討している。

 欧米における研究の主流であったキャッシュ・フロー方式で課税する場合、これまで付加価値税を顧客に転嫁する方法が明示されておらず、実質的に金融機関の負担となっていることに着目し、これを前段階税額控除法付加価値税の取扱いと整合するよう、顧客負担へと修正することを提案している。さらに、数値例による分析の結果、純粋キャッシュ・フロー方式が理論的に最も優れていること、日本が仕入税額控除を認める際の方法として帳簿方式を採用していることの優位性を理由に、純粋キャッシュ・フロー方式が日本の消費税に適しているとの結論として明示している。

 金融機関の提供する金融サービスは付加価値を生産しているのであるから、その付加価値を非課税とすることは産業間の公平性を歪めるもので看過できないとする本稿の問題意識には賛同できる。

 この問題を解決するために諸外国がいかなる対策を講じているかを検証し、我が国の金融機関の金融サービスに対する消費税課税の在り方を実証的に研究した点(独創性)と、消費税増税を目前にしたこの時期に消費税の大きな論点を取り上げ、正面から検討したという点(タイムリー性)の二つの観点からも高く評価できる。


論 文(PDF)・・・・・・2.58MB


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