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羽島和宏 稿
「外国子会社合算税制の課税上の問題についての一考察
 ―税制の交錯から生じる問題点を中心に―」
(東京国税局調査第一部主任国際調査審理官付国税調査官・
筑波大学大学院院生)

 多国籍企業が軽課税国に重要な無形資産を移転し、自国での税負担を最大限に軽減するような国際的なタックス・プランニングが問題視され、その対応が検討されつつある。本論文は、国際的な租税回避に対する税制の一つである外国子会社合算税制(以下「CFC税制」という)に焦点をあて、当該規定と他の規定との交錯によるループホールから合算対象となる所得の圧縮を図るというタックス・プランニングの可能性を示唆し、その問題解決を提言するものである。

 第1章では、具体例を示しながら、CFC税制と(1)適格現物出資税制、(2)国外関連者寄附金税制、(3)特定の資産の買換えの場合の課税の特例との交錯によって問題が生じることを明らかにする。第2章では、CFC税制及び上記税制の趣旨及び目的を確認したのち、第3章では、それらの税制の交錯は「国内」と「国外」の逆転にあり、その原因が「本邦法令の規定の例に準じて」というCFC税制の法令解釈に起因するものであり、その結果として、CFC税制の対象となる外国子会社の所得を圧縮するループホールが生ずる可能性があることを指摘する。第4章では、そのループホールへの対応策を検討し、当該文言の読み替え範囲をCFC税制に限定すべきことを提言する。

 本論文は、CFC税制の対象である特定外国子会社の基準所得金額を「本邦法令の規定の例に準じて」算定することによるループホールの濫用可能性の事例をいくつか紹介したうえで、立法改正を提言するものであり、問題意識が明確である。例えば、寄附金損金不算入規定との交錯によって基準所得金額を圧縮する一例をループホールとして指摘する等、実務的な着眼が随所に見られるユニークなものとなっている。筆者は、そうしたループホールを利用した濫用を防ぐため、予測可能性の観点から解釈論を展開するのではなく、「本邦法令の規定の例に準じて」の読み替えの範囲を特定外国子会社等に限定し、条文を一部修正すべきことを提案する。表現にやや不明確さが見られる難があるものの、それぞれの交錯が生ずる場合の具体例を示し、それに対する実務的かつ実効性の高い処方箋を提示するなど論旨はわかりやすく、一定の評価ができる。

 一方で、立法論を展開するうえで、平成19年度、平成23年度組織再編税制の改正、PE課税、BEPSに係る国際課税の問題の影響などさまざまな課題があり、それらの影響を包括的に検討することも残された課題といえよう。

 しかしながら、本論文は、従来の論文にないCFC税制と他の規定との交錯によるタックス・プランニングの可能性を具体的に検討し、一定の結論を導き出した労作と評価できる。


論 文(PDF)・・・・・・1.01MB


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