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野村 篤史 稿
「法人税法における不確定概念の解釈についての一考察
 ―交際費課税の不確定概念の検討を中心に―」

(名古屋経済大学大学院 院生)

 本稿は、租税法律主義の下、課税要件明確主義が要請される租税法において、不確定概念が用いられることの要否並びに不確定概念が認容される場合に生じる税務行政の問題点等について、特に租税特別措置法第61条の4第3項の交際費課税を題材に考察したものである。(なお租税特別措置法第61条の4第3項は、平成26年の改正により同条第4項となっている)論文の構成は以下のとおりである。

 まず、第1章において、租税法律主義と不確定概念の内容を確認した上で、不確定概念の機能と租税法律主義との関連性、租税法における不確定概念の要否、行政の裁量権のあり方、通達と不確定概念の関係性について考察している。

 第2章は、法人税法上の不確定概念について判例および学説を中心に具体例を挙げて個別的な問題点の確認を行っている。

 第3章では、交際費課税制度の意義、交際費課税の成立要件における不確定概念とその解釈について判例、学説、立法趣旨等から考察し、第4章で、2つの最高裁判決を採り上げて、交際費課税の成立要件と不確定概念の解釈について詳細に検討を行っている。

 おわりに、私見として、交際費課税の意義の明確化、通達から法令への一部底上げ、解釈通達の見直しの必要性を述べ、結びとしている。

 筆者は、本論において、租税法における不確定概念は、租税法律主義の下にあっても、立法上容認され得る概念であると整理している。その上で、特に交際費等の不確定概念について詳細な検討を行い、交際費等に該当するか否かの課税要件の成立要件について検討を行っている。

 その成立要件として、「旧二要件説」「新二要件説」「三要件説」を列挙した上で、萬有製薬事件を採り上げて、裁判所の判断が「新二要件説」から、「三要件説」に変わり、厳格な文理解釈が求められるようになったとの認識を示している。

 また、最高裁の2つの判決を採り上げ、交際費等と従業員慰安費用および会議費の区分、交際費等の成立要件と広告宣伝費について、判例研究を通じて詳細な検討を行っている。

 本論の研究対象である「法人税法における不確定概念の解釈」を巡る問題については、多くの先行研究があるが、本論は、学説や判例の動向についても丁寧に整理研究しており、交際費等の不確定概念についての論点については網羅していると思われる。修士論文としてのボリュームも備えており、筆者の努力の跡が伺われる内容であり、修士論文として評価できるものと思われる。


論 文(PDF)・・・・・・1.19MB


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