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岡田悦子 稿
「租税法の解釈における濫用法理の一考察
―法人税法69条を題材として―」

(名古屋経済大学大学院 院生)

 本稿は、外国税額控除制度について規定する法人税法69条の解釈のあり方について、法の趣旨目的に沿って限定解釈できるか否かについて興味深い検討を行っている。

 内容は4章により構成されている。
 第1章 租税法の解釈における議論―問題提起
 第2章 判例研究―外国税額控除制度の濫用
 第3章 法の濫用法理の位置づけ
 第4章 法の濫用法理の有用性と今後の展望

 学説判例を検証の上、租税回避行為の否認の手法をついて問題整理を行っている。法の趣旨目的に沿った限定解釈の否認の手法を新たな解釈原理として検討している。法の濫用法理について租税法律主義と租税公平主義の二つの原則の視点から丁寧な検討・評価を行っている。

 とりわけ、最判平成17年12月19日を、法人税法69条の立法趣旨は第一に国際的二重課税の排除が主たる目的とされるが、同規定を限定解釈することにより租税回避を否認することが租税法律主義の下で許容されるのか否か、ここに筆者の問題意識はある。

 外国税額控除制度の制度趣旨とは異なる目的である租税回避目的に利用した国際的租税回避事件について、初めて最高裁が判断を示した事例と位置づけ、詳細な検討を加えている。また、類似裁判例との比較をも行ったうえで、制度趣旨に反する租税回避目的の制度利用を「制度の濫用」として、当該規定を限定解釈することによる租税回避の否認事例と位置づけている。

 問題意識がクリアで租税法の解釈のあり方、租税回避と租税法解釈のあり方を正面から取り上げた論考として高く評価できる。一方で、筆者の検討の結果を踏まえた結論がやや不明確である点が課題としても、本稿は租税資料館賞にふさわしい労作といえる。


論 文(PDF)・・・・・・848KB


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