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水野祐槙 稿
「法人事業税の課税標準と地域間配分についての研究
 ―地方税法第72条を中心に―」

(関西大学大学院 院生)

 本稿は、法人事業税の課税標準を景気の変動を受けにくい課税標準のあり方と、税収の地域間格差を縮小するための税収の配分の基準について実証的な分析を行った労作である。
法人事業税の課税根拠や地方税原則(応益性・安定性・普遍性)の観点から、望ましい課税標準と分割基準、税収配分の方法について分析を行っている。
本稿は以下の4章から構成されている。

 第1章では、法人事業税の地方税としての役割、課税標準について長年議論をふまえたうで現状の課税標準や分割基準について整理している。
第2章では、地方税原則の応益性、安定性、普遍性について整理している。
第3章では、第2章の法人事業税の現状の問題点を受けて、課税標準(地方税法第72条の12)の見直しに関する検討をした。応益性の観点からは、適正な税負担配分をすることができる課税標準について分析をおこなっている。
第4章は、第2章の法人事業税の現状の問題点を受けて、分割基準の変更と地方税原則に基づいて税収の地域間格差を実証研究するとともに税収の地域間配分の方法について検討を行っている。

 安定性の観点からは、景気の影響を受けず、毎年度の変動が小さい課税標準について財務総合政策研究所『財政金融統計月報』「法人企業統計年報特集」から、所得、売上高、資本金等の額、報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料の6つの指標のデータを用いて比較した結果、弾力性等の4つの分析を総合的に評価すると売上高が最も安定した課税標準であることを明らかにした上で、安定した税収を得るためには、売上高を課税標準(地方税法第72条の12)に用いるのが望ましいとの結論を述べている。

 税収の安定化に寄与する課税標準と税収の地域間格差問題の解消という問題意識の下に実証的なデータに基づいて研究がなされている。財政学の研究手法を用いて、地方税の課税原則の視点からデータ分析を行っている。とりわけ、景気変動のよる税収への影響を軽減するために、所得を課税標準の指標にするのではなく、付加価値を課税標準にすることについても検討課題として提示している。

 結論において今後の検討課題も示されており、研究の姿勢が真摯であり評価できるものであり、租税資料館賞にふさわしい労作といえよう。


論 文(PDF)・・・・・・1.37MB


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