公益財団法人租税資料館

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香港城市大学APEC研究センターでの客員研究員を終えて(2010/4/5)

徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部准教授
石田和之

 公益財団法人租税資料館からの助成を受けて平成21年9月から平成22年2月まで香港城市大学APEC研究センターにて客員研究員として香港の不動産税制についての調査をする機会を与えていただきました。客員研究員としての滞在を終え、ここに資金援助への御礼を兼ねて、調査研究の報告をさせていただきます。

 香港では不動産に関連する税負担として、Property Tax、General Rates、そしてGovernment Rentがあります。もともと香港の土地はすべて英国女王の所有であり、女王からのリースとして土地を使用していたという歴史的な経緯の名残として、今でも残っているのがGovernment Rentです。Property Taxは、直訳すると財産税となり、誤解しやすい名称ですが、これは資産保有から得られる所得に対する課税であり、所得税の一種です。所有する不動産を賃貸に出し、収益を得ている場合に課税されるものです。

 私は、General Ratesを中心に調査を行いました。香港レイトの特徴は、(1)賃貸価格を課税ベースにしていること、(2)主たる納税義務者として不動産の使用者を想定していることから間接税として区分されていること、(3)土地や建物だけでなく、機械設備などの償却資産も課税対象として含まれていること、(4)(英国レイトなど伝統的なレイトの仕組みとは異なり)税率が5%と設定されていること、(5)納税者の税負担に対する配慮として、景気の変化に応じてしばしば減免されていること、などを挙げることができます。ここでは、香港レイトの特徴を簡単に箇条書きしましたが、調査の結果をまとめたものはいくつかの雑誌に掲載することを予定しています。

 半年弱の期間、香港に滞在して調査を行う機会を与えていただいたことは、税制の調査研究を遂行する上で、直接的にも間接的にもとても有効でした。直接的には、資料の入手が容易であること、ヒアリングなどにより直接たずねる場合のアクセスが容易であること、地域ごとの不動産取引の動きなどを実感しながら数字を眺めることができることなどがあります。実際にいくつかの不動産を視察することもできました。また、間接的には、研究を進めていく上で有益な(将来にもつながる)人とのつながりをつくることができます。長く滞在していると、現地での生活を通じて、人との縁ができます。「実は、金融庁に務めているんだ。今度、財政の人を紹介してあげるよ。」、「友人にIMFでエコノミストをやっている人がいるから紹介しようか。」などといった形で研究とは直接関係のないところで出会った人から生まれる人とのつながりは、意外に研究の遂行に大きく貢献します。

 不動産税制の研究の一環として、香港レイトの調査をしたいという私の希望を受け入れていただき、資金援助を賜りました公益財団法人租税資料館には、改めて感謝いたします。資金援助は、研究の遂行にとって経済的な支援になるだけではありません。資金援助を受けているということそのものが、調査を円滑に進めるために貢献します。単に日本から調査に来ただけであるよりも、資金を受けて調査をしているということが、ヒアリングなどを行う相手に対して信頼を増すことにつながり、また、積極的な相手の対応につながることはしばしばあります。今回の資金援助は、私の研究を遂行する上で、非常に有益であり、また、貴財団からの援助がなければこんなにもスムーズな研究の遂行は実現しなかったであろうと思います。

 最後に、今後も貴財団がこのような研究助成を継続され、また、租税に関する研究の中心として発展されますことを願いまして、御礼とさせていただきます。ありがとうございました。




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