糀 光彦 稿 [フリンジ・ベネフィット課税の研究-ドイツ、イギリス及びフランスの課税体系との比較を中心として-」

糀 光彦 稿
[フリンジ・ベネフィット課税の研究-ドイツ、イギリス及びフランスの課税体系との比較を中心として-」

(税務大学校論叢第24号 平成6年5月刊)

 本稿は、(1)序章(1章、231-232頁),(2)フリンジ・ベネフィットの概観(2章、233-245頁),(3)フリンジ・ベネフィットを巡る諸問題(3章、246-272頁),(4)フリンジ・ベネフィットに関する諸外国の課税の状況(4章、273-297頁),(5)諸外国の課税体系(5章、297-353頁),(6)典型的なフリンジ・ベネフィットについての各国比較(6章、354-381頁)、(7)我が国の課税体系の諸問題(7章、382-419頁),(8)おわりに(8章、420-421頁)の8章からなる労作である。

 問題の提起(第1章),概念定立(第2章)に引き続き、第3章は、フリンジ・ベネフィットの増大理由、その結果としての課税ベースの浸食、その他の派生問題を指摘する。

 第4章は、各国のフリンジ・ベネフィットの課税方式とコストの損金算入能力について現状を報告する。

 第5章は、沿革をふまえた上で各国のフリンジ・ベネフィットの課税根拠及び非課税根拠につてい、紹介考察する。我が国の課税体系についても詳述されている。

 第6章は、フリンジ・ベネフィットの代表的類型について比較される。各国の背景にある文化格差にも言及されており、周到である。

 第7章は、ヨーロッパ諸国の法律構成を検討したのち、法制度に内在する問題点を指摘する。

 日本におけるフリンジ・ベネフィット課税問題がOECD報告(OECD,The Taxation of Fringe Benefits[1988])の手法及び類型にのっとり網羅的に考察されている点は、特筆さるべきであろう。この問題に関する法解釈論及び立法論にとって注目しうる。