谷道 名緒 稿「第二次納税義務の法的性格とは何か―調査官解説から読み解く―」

谷道 名緒 稿 (東京富士大学大学院 院生)
「第二次納税義務の法的性格とは何か―調査官解説から読み解く―」

 本論文は、国税徴収法に規定する第二次納税義務制度における納付告知に焦点を当て、第二次納税義務の法的性格を明らかにし、そこに内在する問題点と今後のあり方について考察することを目的にしている。

 全5章からなり、まず第二次納税義務制度の沿革、基本的な構造、類似する制度等を確認している(1章)。次いで、3つの最高裁判決を取り上げ、各最高裁判所判例解説から第二次納税義の法的性格、納付告知の性格、主たる納税義務者と第二次納税義務者との関係について検討している(2~4章)。最後に、上記裁判例および解説より、第二次納税義務者に「人的独立性」があると認められる場合の主要な要件を明らかにし、人的独立性が認められる射程を第二次納税義務者の類型ごとに主たる納税義務者と第二次納税義務者との結びつきから考察している(5章)。筆者は第二次納税義務者の独立性を認めなかった昭和50年8月27日判決につき判例変更を行うこと、あるいは特定の第二次納税義務者が不服申立て又は訴えを提起でき、安定した地位を確保できるような立法の必要性を提言している。

 本論文では、3つの最高裁判決について争点および筆者が設定した論点に沿って論が展開されている。冗長な記述がなく、問題意識が明確である。先行研究も多い中、著者は文献・資料を渉猟し、各最高裁判決を精緻に分析することによって、説得力ある結論を導出している。オーソドックスな手法でありながら、従来の研究よりも一歩踏み込んでいる印象を与えるのは、筆者が抱いた強い問題意識(「第二次納税義務者自身が権利救済を求めた裁判が目につき、通常の納税義務者との立場の違いに違和感をおぼえた」(要旨))の表れといえよう。各判例で取り上げられる論点は多岐にわたるが上手く整理されており、著者の問題意識は貫かれている。

 以上より、本論文は租税資料館奨励賞受賞の水準を満たしていると評価できる。 

論 文(PDF)