甲南大学経営学部の久保田秀樹教授より、「甲南経営研究」第51巻第1号に掲載された論文「ドイツにおける会計規制現代化と課税所得計算 ―『逆基準性の原則』の削除―」の提供がありました

 甲南大学経営学部久保田秀樹教授から、「甲南経営研究」第51巻第1号に掲載された論文「ドイツにおける会計規制現代化と課税所得計算 ―『逆基準性の原則』の削除―」の提供がありました。

 日本でも、国際財務報告基準(IFRS)が金融商品取引法適用会社の一部に2010年3月期の年度より連結財務諸表に任意適用されました。ドイツでは、商法典(HGB)の一連の現代化によって、2005年より上場企業の連結決算にIFRSが強制適用されています。さらに、ドイツでは、会計法現代化法(BilMoG)が、2009年5月29日に発効し、2010年1月1日に始まる事業年度から適用されています。

 このBilMoGにより、日本の「確定決算主義」に相当するドイツ所得税法(EStG)第5条第1項第1文の「基準性の原則」(Massgeblichkeitsprinzip)は残されたものの、日本の損金経理要件に類似した同法第5条第1項第2文の「逆基準性の原則」(umgekehrte Massgeblichkeitsprinzip)は削除されました。

 このような、ドイツのBilMoGによるHGB準拠計算書と税務貸借対照表との関係の変化は、IFRSが任意適用される今日、連結先行の先に生じうる問題、すなわちIFRSが個別決算に適用される場合の問題について、日本にとっても示唆に富むものと考えられます。

 本稿は、BilMoG施行による「逆基準性の原則」の削除が、課税所得計算に及ぼす影響を明らかにすることを課題としています。

 なお、久保田教授の研究については、このホームページの2009年12月22日付けトピックスもご覧下さい。

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